『ゴーストランドの惨劇』Ghostland【感想・レビュー】

2019年8月10日土曜日

review フランス映画祭

t f B! P L

(C)2017 - 5656 FILMS - INCIDENT PRODUCTIONS - MARS FILMS - LOGICAL PICTURES

ジェラルメ国際ファンタスティック映画祭 グランプリ・観客賞・SyFy 審査員賞受賞
シッチェス・カタロニア国際映画祭 作品賞ノミネート

スタッフ staff

監督・脚本:パスカル・ロジェ Pascal Laugier

出演 Cast

クリスタル・リード Crystal Reed:ベス Beth
アナスタシア・フィリップス Anastasia Phillips:ヴェラ Vera
エミリア・ジョーンズ Emilia Jones:ベス(10代) Young Beth
テイラー・ヒックソン Taylor Hickson:ヴェラ(10代) Young Vera

あらすじ

人里離れた叔母の家を相続し、そこに移り住むことになったシングルマザーのポリーンと双子の娘。姉のヴェラは、奔放で現代的な少女。一方妹のベスは、ラヴクラフトを崇拝する内向的な少女。双子の姉妹ながら、性格は正反対だった。新居に到着したその日の夜、突然の惨劇が一家を襲う。2人の暴漢が家に押し入ってきたのだ。しかし、娘を守ろうとする母は必死に反撃し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにする―。あの惨劇から16年後。ベスは小説家として成功したが、ヴェラは精神を病み、今もあの家で母と暮らしていた。久しぶりに実家に戻ったベスを母は迎え入れるが、ヴェラは地下室に閉じこもっていた。そして、ベスに向かって衝撃の言葉をつぶやく―

期待と裏切り

ホラー映画を観る場合、恐怖を感じたいと考えて作品を選んでいるだろう。パスカル・ロジェ監督作品としてこの作品を選んだ方は、『マーダーズ』を意識しつつ、この作品を選んだというケースもあるだろう。また、「ありきたりのホラーでは終わらない」というキャッチに惹かれた、ホラーファンであれば、この作品は何を見せてくれるの?という期待感を持って、作品を観ているだろう。
そういう意味では、この作品は、ホラー映画として、ベーシックな、音、怪物、追いかけられる等、押さえているところは綺麗に押さえている。ただ、良い意味で、展開が予想した展開とは異なり「転回」する。設定が罠となり、気持ちよく欺かれる物語は、爽快感があり、だが、恐怖が襲い掛かってくるのだ。

この作品の中で、重要な役割を果たす「鏡台」。鏡を覗き込むと見えないものや「見たくないもの」が見えるパターンが多いが、この作品全体として、見る方向が逆転したり、虚構と現実として、別のものを見せたりする。
物語の構成が作中で変化する上手さ
サスペンス映画などでは、前半に張った伏線を丁寧に回収していき、ラストシーンに持っていくという構成が多いが、この作品では主要な伏線を回収したタイミングからホラー的な展開へ物語の作り方、映像のみせ方がシフトしていく。その構成力が素晴らしく、単調になりがちの「ありきたりのホラー」とは違う気持ちを呼び起こしてくれる。

作品全体として

近年はホラー映画ブームということもあり、スタンダードなホラーではなく、一癖も二癖もある、工夫を凝らした作品が多くて楽しい。『コンジアム』『ハウス・ジャック・ビルド』など2019年に日本公開された作品だけでも、バリエーションに富んでいる。この作品も、そういう意味では、2019年を代表するホラーであり、この独特のセンスのホラーは忘れられない作品となった。おすすめ作品。

『ゴーストランドの惨劇』公式サイト
http://ghostland-sangeki.com/
『ゴーストランドの惨劇』Ghostland(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt6195094/

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