『メアリーの総て』Mary Shelley【感想・レビュー】

2018年12月15日土曜日

review

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(C)Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017

スタッフ staff

監督:ハイファ・アル=マンスール Haifaa Al-Mansour

出演 Cast

エル・ファニング Elle Fanning:メアリー・シェリー Mary Shelley
ダグラス・ブース Douglas Booth:パーシー・シェリー Shelley
ベル・パウリー Bel Powley:クレア・クレアモント Claire Clairmont
トム・スターリッジ Tom Sturridge:バイロン卿 Lord Byron
ベン・ハーディ Ben Hardy:ジョン・ポリドリ Polidori
スティーヴン・ディレイン Stephen Dillane:ウィリアム・ゴドウィン Mr. Godwin

あらすじ

19世紀、イギリス。作家を夢見るメアリーは、折り合いの悪い継母と離れ、父の友人のもとで暮らし始める。ある夜、屋敷で読書会が開かれ、メアリーは“異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合う二人だったが、パーシーには妻子がいた。情熱に身を任せた二人は駆け落ちし、やがてメアリーは女の子を産むが、借金の取り立てから逃げる途中で娘は呆気なく命を落とす。失意のメアリーはある日、夫と共に滞在していた、悪名高い詩人・バイロン卿の別荘で「皆で一つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられる。深い哀しみと喪失に打ちひしがれる彼女の中で、何かが生まれようとしていた──。(公式HPより)

19世紀の世界観

主人公を演じる エル・ファニング は前作の『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』でも19世紀を生きる少女を演じているが、その面差しか醸し出す雰囲気か、19世紀の世界観に溶けこんで、違和感がない。光り輝く舞台ではなく、影の差すゴシック的な映像美の中で、より一層魅力的に映る彼女の演技は、必見である。

フランケンシュタイン

この小説は、1818年3月11日に匿名で出版されたゴシック小説だが、その後、改版や舞台化、映像化などが繰り返されているので、日本人にとってもなじみ深い存在だが、その原作者を主人公にした作品は珍しい。改めて、彼女の作り出した小説を読む機会にするもの良いだろうし、原作者の若き女性であるということを前提に読むと、今までと違う感想を得ることができるかもしれない。

西欧の時代を表現する衣装や装飾

近年の日本の時代劇の衣装やセットが陳腐になりがちなのに対し、他国で製作された作品の衣装や装飾は、その時代感を表現するために、創意工夫がなされ、その映像を観ているだけで、満足感を味わうことができる。筆者は、特に中世から近世にかけての作品世界を好むせいかもしれないが、この作品も同様に素晴らしい。小説家が主人公ということもあり、室内にある紙や文房具にも注目して観ると、新しい楽しみが得られるだろう。

作品全体として

監督がこだわったキャスティングが見事に世界観にハマっている作品。女性の強さが注目を集めている現在の映画界において、時代は19世紀であるが、描かれているものは現代に通じるものがあり、そして、その主人公を今後の映画界で注目を集めるであろう エル・ファニング が演じていることは、今後の鍵となる作品かもしれない。ただ、そんな周辺部分なことを抜きに、フランケンシュタインが生み出された19世紀の世界感に浸りたい。そして、それが体感できる。そんな作品。

『メアリーの総て』公式サイト
https://gaga.ne.jp/maryshelley/
『メアリーの総て』Mary Shelley(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt3906082/

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