(C)British Broadcasting Corporation / Number 9 Films (Chesil) Limited 2017
スタッフ staff
監督:ドミニク・クック原作・脚本:イアン・マキューアン
出演 Cast
シアーシャ・ローナン:フローレンス・ポンティングビリー・ハウル:エドワード・メイヒュー
エミリー・ワトソン:ヴァイオレット・ポンティング
エイドリアン・スカーボロー:ライオネル・メイヒュー
アンヌ=マリー・ダフ:マージョリー・メイヒュー
サミュエル・ウェスト:ジェフリー・ウェスト
あらすじ
1962年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な空気が社会を包んでいた。そんななか、幸せいっぱいの若い夫婦が誕生する。カルテットの一員となり、大きな舞台でコンサートを開くことを夢見ていたのは、美しく野心的なバイオリニストのフローレンス。一方のエドワードは、歴史学者になることを目指しながら自由に暮らしていた。まるで接点のなかった2人だったが、ある日偶然出会い、一目で恋に落ちる。とはいえ、実業家として成功した厳格な父親と過保護な母親を持つ裕福な家庭で育ったフローレンスと、学校の教師を務める父親と脳に損傷を負った母親を抱えるエドワードは対照的な家庭環境。すべてが異なる2人にとっては、さまざまな困難が立ちはだかると思われていたが、フローレンスとエドワードはそれらを乗り越えるほどの深い愛情で結ばれていた。そしてついに、フローレンスとエドワードは人生をともに歩んでいくことを決意する。結婚式を無事に終え、2人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。幸せに満ち溢れた時間を過ごすはずだった。ところが、味気ないホテルに到着すると、堅苦しい空気に包まれてしまう2人。ホテルの部屋で食事を楽しもうとするものの、初夜を迎える緊張と興奮から、会話は思うように進まず、雰囲気も気まずくなるばかりだった。いよいよそのときが訪れるも、喜びを抑えきれずに焦るエドワードと不安な様子のフローレンスは、どこかちぐはぐで、うまく噛み合わないまま。ついに結ばれるかと思われたが、なぜかフローレンスはエドワードを拒絶してしまう。フローレンスはホテルを飛び出し、チェジル・ビーチへと逃げていくのだった。エドワードは後を追いかけるものの、2人は激しい口論となり、お互い思ってもいない言葉を口にしてしまうことに。愛しているからこそ生じてしまった“ ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにとって、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終がいま明かされる……。(公式HPより)
若き日に
純粋で潔癖な若者の挫折と葛藤を、穏やかに描いている。年を経ることで理解できるような感覚を、20代の主人公、特にシアーシャ・ローナンな演じていることが驚きである。おそらく、自分がどんな演技をし、心を動かしたのか、は、彼女が40代や60代になって、初めて理解できるのではないか。元には戻らない時間
若いころ、誰しも後悔するような経験は、一つや二つは誰しもあるだろう。しかし、時間は元には戻らない。主人公たちは、初夜という新婚の時の大切な出来事の中で、残酷で切ない経験をする。そんな心を押しつぶしてしまうような切ない気持ちが、観客にも伝播する。小説と映画の時間
小説は、人の想像の中で時間を体感するが、映像は監督の描いた映像の中で時間を体感する。この作品は、後半、時の経つ感覚を「余韻」として体感するのだが、その時間が足りない印象が残ってしまった。映画は上映時間の関係から、個々の観客にあわせて、その時間を調整することができない。主人公たちが歳を経ることで理解する、そんな間が欲しいと感じた。この個々の観客にとって、普遍的な呼吸のようなものが、映像化の難しさのかもしれない。作品全体として
『レディ・バード』で一気に評価を得たシアーシャ・ローナンが、次作で少し大人になった姿を見せてくれた。作品毎に違う印象を与えつつ、しかし、彼女らしい印象も与えてくれる。次回作での、彼女の活躍が想像でき、そして、期待したい。そんな作品。『追想』公式サイト
http://tsuisou.jp/
『追想』On Chesil Beach(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt1667321/
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