『私はニコ』Nico【感想・レビュー】ネタバレ少し含みます。

2023年4月23日日曜日

ドイツ映画祭 映画祭 外国語映画

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『私はニコ』メイン写真
(C)Darling Berlin / UCM.ONE

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023 上映

スタッフ staff

監督:エリーヌ・ゲーリング Eline Gehring

出演 Cast

サラ・ファジラット Sara Fazilat:ニコ Nico
サラ・クリモスカ Sara Klimoska:ロニー Ronny
ジャヴェ・アセフジャ Javeh Asefdjah:ローサ Rosa
アンドレアス・マルクアルト Andreas Marquardt:アンディ Andy
ブリギッテ・クラ―マー Brigitte Kramer:ブリジット Brigitte

あらすじ

イラン系ドイツ人のニコは介護の仕事をしている。明るく前向きな性格のニコは、気さくで親身な対応から利用者たちにも人気がある。親友のローザとベルリンの夏を楽しんでいたが、ある日、人種差別的な理由から路上で襲撃を受ける。事件を境に、以前の明るさを失い、周りと距離を置くようになってゆくニコ。それまで当たり前だった日常は不安に侵され、友人や患者とのつながりも薄れてゆく。(「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023」公式ホームページより抜粋)

『私はニコ』場面写真その1
(C)Darling Berlin / UCM.ONE

プロデュースから手がける流れ

この作品は、主演のサラ・ファジラットが、プロデューサーも務めている。加えて、また、監督と撮影も同世代の女性で、脚本は、3人の共同脚本となっている。海外では、俳優が映画プロデュースを手掛ける形は、マーゴット・ロビーなどしばしばみかけられたが、最近、日本でもようやく、MEGUMIさんが手掛けられていることが話題となってきたところだ。自身がプロデュースから手掛けることで、映画への理解が深く、インタビューでも説明されているが、違和感のあるセリフややりとりが起きにくい。日本国内でも、このような形が増えていくことが望まれる。

「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023」公式Youtubeチャンネルより、サラ・ファジラットインタビュー(『私はニコ』主演・プロデューサー・共同脚本)

アジアン・ヘイトへ鈍感な日本人

コロナ禍でようやくニュース報道に上り始めているアジアン・ヘイト。編集部は、年間400本以上の映画を映画館で鑑賞し、特に、海外の映画祭で評価される作品は、難民や人種差別など社会問題をテーマにしたものが多いため、意識する機会が多いが、2023年になっても、まるで鎖国しているかのように、国際的な批判を浴びても、難民への対応が非人道的な日本においては、自分達が他の国に行った時に、ヘイトの対象となることへの理解度が低い。もし、ニコのように襲われた時、私たちは立ち直ることができるのだろうか。

『私はニコ』場面写真その2
(C)Darling Berlin / UCM.ONE

作品全体として

脚本のストーリーラインとしては、直球ではあるが、それゆえに、描かれているドイツにおける社会的なテーマが伝わる作品。一方で、同じ社会を、同じ人々を描いているのに、今まで笑顔で関わりあった人々が恐怖の対象となるさまが、普遍的で恐ろしくもある。また、この作品では、主演のサラ・ファジラットの演技は惹きつけられるものがある(『聖地には蜘蛛が巣を張る』でも、ポスタービジュアルとなる娼婦の役を好演している)。今後の活躍に期待がかかる俳優のひとりとなった、おすすめ作品。

『私はニコ』ポスタービジュアル
(C)Darling Berlin / UCM.ONE

『私はニコ』「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023」作品紹介ページ
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545881.html

『私はニコ』Nico(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt13793134/

(Life with movies 編集部:藤井幹也

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