『孤狼の血』【感想・レビュー】

2018年5月12日土曜日

日本映画

t f B! P L

『孤狼の血』【感想・レビュー】

(C)2018「孤狼の血」製作委員会

スタッフ

監督:白石和彌
原作:柚月裕子

キャスト

役所広司:大上章吾
松坂桃李:日岡秀一
真木よう子:高木里佳子
江口洋介:一之瀬守孝
石橋蓮司:五十子正平
ピエール瀧:瀧井銀次
音尾琢真:吉田滋
阿部純子:岡田桃子
滝藤賢一:嵯峨大輔
中村倫也:永川恭二
竹野内豊:野崎康介
中村獅童:高坂隆文

あらすじ

昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島・呉原―。そこは、未だ暴力団組織が割拠し、新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の「加古村組」と地場の暴力団「尾谷組」との抗争の火種が燻り始めていた。そんな中、「加古村組」関連企業の金融会社社員が失踪する。失踪を殺人事件と見たマル暴のベテラン刑事・大上と新人刑事・日岡は事件解決の為に奔走するが、やくざの抗争が正義も愛も金も、すべてを呑み込んでいく……。警察組織の目論み、大上自身に向けられた黒い疑惑、様々な欲望をもむき出しにして、暴力団と警察を巻き込んだ血で血を洗う報復合戦が起ころうとしていた……。(公式HPより)

平成の東映実録映画

「仁義なき戦い」のオマージュと言われているが、物語のベースは「県警対組織暴力」に近い。いずれにしても、東映が製作した深作欣二監督の「仁義なき戦い」に始まる菅原文太や高倉健、松方弘樹ほか数々の昭和の男達が活躍した東映実録映画のオマージュというか、リスペクトして製作されていることは疑いようもない作品。東映実録シリーズが伝説的であるので、比較されるかもしれないが、平成の世に東映が製作したノワール映画として、素晴らしい作品であるので、むしろ、これを機会に昭和の東映実録映画もあらためて観てもいいだろう。

TVでは観られない世界

映画から視聴者を奪ったTVだが、現代では自主規制が厳しく本作のようなノワール映画を製作することも、放映することもできなくなってしまった。決して、規制が悪いということではないが、選択肢がないというのは世界の広がりがないということ。そして、映画の世界は、今なおクリエイティブに寛容な世界であり、我々に本作のような作品を届けてくれるのだから、素晴らしい。

癖のある役者の存在

東映実録映画の中では、成田三樹夫などの「クセもの」が揃っていたし、主要人物たちをより引き立てていた。そういう意味では、ピエール瀧や滝藤賢一の存在が物語にとってはとても必要だし、今の映画界にももっと、素晴らしい「クセもの」が増えてほしい。

作品全体として

東映実録映画を観たことがある編集部にとっては、懐かしくもあり、ただ、白石監督がリスペクトして製作された平成感もあり、楽しめたが、菅原文太を知らない世代にとって、本作がどのように映ったのかが興味深い。ただ、映画館を出たあとは、大股で下腹に力を入れた漢として、芯のある艶っぽい女として、街を歩いて欲しいし、歩きたくなる作品。おススメ。

『孤狼の血』公式サイト
http://www.korou.jp/

サイト運営

自分の写真
映画情報「Life with movies」編集部公式サイト。最新映画や映画祭、舞台挨拶のほか、編集部による過去映画トピックスをお届けします。 twitterアカウント:@with_movies

QooQ