『四月の永い夢』【感想・レビュー】

2018年5月15日火曜日

日本映画

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『四月の永い夢』【感想・レビュー】

(C)WIT STUDIO / Tokyo New Cinema

スタッフ

監督・脚本:中川龍太郎

キャスト

朝倉あき:初海
三浦貴大:志熊藤太郎
川崎ゆり子:楓
高橋由美子:忍
青柳文子:朋子
森次晃嗣
志賀廣太郎:幸男
高橋惠子:沓子

あらすじ

3年前に恋人を亡くした27歳の滝本初海。音楽教師を辞めたままの穏やかな日常は、亡くなった彼からの手紙をきっかけに動き出す。元教え子との遭遇、染物工場で働く青年からの思いがけない告白。そして心の奥の小さな秘密。--喪失感から緩やかに解放されていく初海の日々が紡がれる。(公式HPより)

空気感の伝わる作品

主人公だけでなく、登場人物それぞれのセリフが繊細で言葉の選択のセンスが良く、小さな感情の変化も観客側に伝わる。楽器の複数の音が重なり合う中でも、それぞれの音が聞き分けられるように、細かな響きが通り抜けていく感覚にさせてくれる。

時間と空間

この作品の中で、ヒロインが亡くなった恋人のふるさとの街を歩くシーンが特に素晴らしい。物語の中で、セリフではなく、風景、音、光と「間」で観客の心が感じる時間を演出してくれていて、主人公の心が染み渡る。映画は細かくカットを切り分けて、セリフを詰め込んでも、伝えるということには繋がらない。逆に、この作品のように、語らないことで伝わる心情がある。そう感じさせるシーンだった。

作品全体として

登場人物の気持ちを直接的なセリフにすることが多い近年の映画・ドラマが多い中で、本当に心が伝わる作品は、こういう作品ではないかと考えさせられた。詩的というと、人によっては異なる印象になってしまうので、そうではなく、一つ一つのセリフがとても丁寧で、気取っているわけではなく、自分達の若かった頃、そして、今、の気持ちに近いところで演奏される音のような映像作品。おススメ。

『四月の永い夢』公式サイト
http://tokyonewcinema.com/works/summer-blooms/

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