『響 HIBIKI』【感想・レビュー】

2018年9月14日金曜日

日本映画

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『響 HIBIKI』【感想・レビュー】

(C)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会
(C)柳本光晴/小学館

スタッフ

監督:月川翔
原作:柳本光晴
脚本:西田征史

キャスト

平手友梨奈:鮎喰響
北川景子:花井ふみ
アヤカ・ウィルソン:祖父江凛夏
小栗旬:山本春平
高嶋政伸:神田正則
柳楽優弥:田中康平
北村有起哉:鬼島仁
野間口徹:矢野浩明
板垣瑞生:椿涼太郎
吉田栄作:祖父江秋人

あらすじ

スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』。15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。文芸誌「木蓮」編集者の花井ふみとの出会いを経て、響は一躍世の脚光を浴びることとなる。しかし、響は、普通じゃない。彼女は自分の信じる生き方を絶対曲げない。
世間の常識に囚われ、建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許すことができない。響がとる行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々な人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変え始める。一方、響の執筆した処女作は、日本を代表する文学賞、直木賞・芥川賞のダブルノミネートという歴史的快挙にまで発展していく。(公式HPより)

響は二人いる

原作の響は、天才小説家であるが、主演した平手友梨奈も天才だ。目線、演技に意味があり、本当に新人なのかと疑いたくなる。作品にシンクロしているせいもあり、天才感がにじみ出ていて、この先が恐ろしいが、大手配給会社は、安易なラブコメなどにブッキングしないで欲しい。この才能を生かすも、殺すも、今後のプロデュース次第というところ。今年の新人賞レースの本命だろう。

マンガ原作作品の実は難しい

編集部は、マンガ原作の作品が嫌いである。
正確には、マンガ原作に依存しすぎる東宝ほかの大手映画制作、配給会社と実行委員会の映画に対する姿勢が嫌いである。
昨年の最低評価の作品である『鋼の錬金術師』を始め、駄作率が高く、映画館でがっかりする確率が高い。これは、小説と異なり、マンガには「画」が物語とセットとなっているので、より自由度の高いマンガで描かれたものを、映像化すると陳腐にみえることが一因になっていると考えている。
本作は、架空の現代を舞台にしているので、原作との乖離が少ないことと、主人公を演じた平手友梨奈がかなりシンクロしていることもあり、大成功しているが、これは稀な例と考えた方がいい。

天才と凡人

原作版『響』の良さは、主人公と対比するように登場する脇役たちのキャラクター性によるところも大きい。小説を書くという共通点で、響と交わることで、脇役たちの人生が変化していく様子が描かれていて、そこに魅力があるのだ。
今回は、小栗演じる山本や柳楽優弥が演じる田中がそうだが、もう少し丁寧に描いた方が、カウンターとして響の物語に色が出たと思われる。上映時間の縛りがあるとはいえ、ストーリーを忠実になぞることに引きずられた感が否めなかった。

作品全体として

2018年に上映された作品(本作上映時点)の中では、最も原作の雰囲気を反映しつつ、キャラクタが活き活きと描かれていた秀作。原作ファンも観て、がっかりすることはなく、続編も期待できるだろう。おススメ作品

『響 HIBIKI』公式サイト
http://www.hibiki-the-movie.jp/

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