Life with movies 『過ぎた春』The Crossing (過春天)【感想・レビュー】
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『過ぎた春』The Crossing (過春天)【感想・レビュー】

『過ぎた春』The Crossing (過春天)【感想・レビュー】

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第14回大阪アジアン映画祭 コンペティション作品 来るべき才能賞(監督)受賞

スタッフ

監督・脚本:バイ・シュエ(白雪)BAI Xue

キャスト

ホアン・ヤオ(黄堯)Huang Yao:Peipei
スン・ヤン(孫陽)Sunny Sun:Hao
カルメン・タン(湯加文)Carmen Soup:Jo

あらすじ

香港人の父と中国人の母を持つ16歳のペイペイは、深センから毎日国境を越え、香港の高校に通っている。母は家で友達と麻雀に興じてばかり。父は香港で別の家族を持ち、国境付近でトラック運転手をしている。孤独なペイペイにとって一番楽しいのは、学校で親友ジョーと過ごす時間だ。北海道旅行を夢見て、学校で小遣い稼ぎをしていた二人は、船上パーティーでクールな青年ハオに出会う。ジョーがハオに好意を持つ中、ハオからスマートフォンの密輸団を紹介されたペイペイは、旅費欲しさから危険な裏仕事に手を染めるのだった。(第14回大阪アジアン映画祭公式HPより)
2019年3月15日(金曜)上映後Q&Aより(ネタバレ含みます)
バイ・シュエ(白雪)監督(以下、監督)
ホー・ビン(賀斌)プロデューサー(以下、ホー)

:作品の構想は、いつ頃?
A(監督):元々、2003年北京電影学院へ入学までは深センで生活していました。2015年頃ボーダーを越える少女の物語を書き上げたが、学院に入学してから10年以上かかった。この作品の主人公のはユニークで、一つの身体に二つのアイデンティティを内包しています。中国の都市部にある、現代の中国の社会を描いたと考えています。

:タイトルが英語表記では『The Crossing』となっているが、中国だけではなく、グローバルにおいても、普遍性のあるテーマとなっているのではないでしょうか。
A(監督):どのような人でも、成長の過程では越えていくボーダーがあります。この作品で、多くの方と共有できればと考えています。

以下、観客からの質問
:田壮壮がクレジットされていたが、この作品との関係を教えて下さい。
A(監督):田壮壮は、大学時代の恩師。大学の頃からの私の成長過程を知っている人です。先生の元で大学院を志望していたが、結婚して家庭を持つべきだ、と言われ、叶いませんでした。今回、ようやく脚本が完成し、みせることが出来ました。私は、先生の良い生徒だったと考えています。なぜなら、先生のいわれる通り、家庭を持ち、子供を産みました。そして、夫は、この作品のプロデューサー:ホー・ビンです。
先生は、映画館で映画がどのように観られるか、を教えてくれました。

:主人公のペイペイは、いろんな人物と関係していきますが、最終的に、誰にも受け入れられていない。そのように描いた理由は。
A(監督):私は、すべての登場人物を丁寧に描きたかった。それぞれの人生には背景があり、物語があります。ラストシーンでは、母親を切り捨てるわけにはいかない、という状況を描いています。

Q(司会者):(ホーへ)脚本を書いている頃から、作品に参画しているのか。
A(ホー):夫婦なので、自然とチームにはなるが、撮影や脚本には関わっていません。撮影の後やクルーとの対応などバックヤードを中心にサポートしました。映画は、チームで製作されていくものだから。

:香港のそばで、実際に育った監督の印象は。
A(監督):私は90年代に深センに転居しました。よって、深センの発展を目の当たりにした1人といえるでしょう。深センは、香港から影響を受け、私自身も香港の影響を受けたと考えていますが、この作品を制作するにあたっては、本当の香港を理解できているか、という点では不安があり、悩みどころでした。作品制作に際して、書籍や博物館で学ぶだけでなく、香港でインタビューによるリサーチも行いました。ペイペイの父親は、香港人として描いているので。

:ヒロインのキャスティングについて
:中央戯劇学院出身のプロの女優で、20代。大学出たばかり。広東省出身で北京語と広東語の両方を話すことができた。彼女に惹かれたのは「目」。頑固でシンプルなヒロイン像に相応しいと考えた。

香港、中国の若者の「今」を描く

実際に起きた事件をモチーフとして、主人公の目から深センと香港の「今」を描かれている。貧富の差、都市の経済格差や構造の違いなど、時代を投影した形。採用されている事件も、今だから起きているもので、10年後にこの作品を観ると、今の時代を想起することができるだろう。

アジアの新人監督隆盛

この作品のバイ・シュエ監督や上記映画祭で上映された『アワ・ボディ』のハン・ガラム監督、『G殺』のリー・チョクバン監督、第12回大阪アジアン映画祭でグランプリを獲得した『誰がための日々』のウォン・ジョン監督など、香港、中国、韓国それぞれ新人監督の発掘・養成が素晴らしい作品の形となって、成果を出し始めている。これらの監督作品は、アジアだけではなく、近いうちに西欧の映画賞でも評価をされるような作品を生み出していて、要注目であり、映画ファンとしては、期待に胸が高鳴る想いでもある。

作品全体として

ヒロインを演じた ホアン・ヤオ の瑞々しい演技が印象に残る秀作。深センの街、主人公、そして、この監督。新時代という言葉自体が古いが、時代の変化と今現代の新しい風を感じる作品で、今、劇場でこの作品を観たことの意味をきっと振り返ると感じられる。時代性が色濃く出た作品。おすすめ作品。

第14回大阪アジアン映画祭
http://www.oaff.jp/2019/ja/

『過ぎた春』The Crossing (過春天) IMDB
https://www.imdb.com/title/tt8875366/

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