『共犯』Partners In Crime【感想・レビュー】

2015年7月26日日曜日

review 東京国際映画祭

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共犯メイン画像
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第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品

スタッフ staff

監督:チャン・ロンジー(張榮吉)Jung-chi Chang

出演 Cast

ウー・チエンホー(巫建和)Chien-Ho Wu:ホアン・リーファイ Huang Li-Huai
チェン・カイユアン(鄭開元)Kai-Yuan Cheng:イエ・イーカイ Yeh Yi-Kai
トン・ユィカイ(鄧育凱)Yu-Kai Teng:リン・ヨンチュン Lin Yong-Chun
ヤオ・アイニン Ai-Ning Yao:シャー・ウェイチャオ Hsia Wei-Chiao
ウェン・チェンリン Chen-Ling Wen:チュウ・チンイー Chu Ching-Yi
サニー・ホン(洪于晴)Yu-Ching Hung:ホアン・ヨンチェン Huang Yung-Chen

あらすじ

男子高校生ホアン、リン、イエは、通学途中、偶然同じ時刻に通りがかった路地で、同じ学校の女生徒シャーが変死しているのを発見する。それまで口をきいたこともなかった3人だが、この奇妙な出会いを期に、仲良くなっていった。シャーは自殺なのか、それとも……死の真相を調べ始めた3人の前に、彼女が同級生からいじめられていたのではないかという疑惑が持ち上がり…。
ミステリアスな女生徒の死から幕を開ける物語は、少年たちによる犯人捜しから復讐譚へと突き進むかに思わせながら、思いがけない方向に展開し、加速していきます。隠された日記、SNSの炎上、秘密の森。そして新たに起こる悲劇…。衝撃のラストで、彼らが辿り着いた真実とは?(公式HPより)

台湾映画の青春映画の傑作

2011年の第24回東京国際映画祭で、『あの頃、君を追いかけた』を観て、台湾の若者像を描いた作品が素晴らしいことに気づき、その後に日本で上映される台湾映画はできるだけ観たいを考えていたら、この作品に出会った。脚本、演出が素晴らしく、また、作品の細部にまで行き届いている設定やセリフなど文句ない作品で、当時の東京映画祭で観た作品だけでなく、邦画・洋画問わず、年間ベストに選んでいる。

いじめや自殺を描きながら

この作品は、青春映画である。作品の背景として、自殺やいじめ、近年その舞台となっている流行するSNSの実態など台湾の社会問題が描かれているが、作品の軸となる部分は、3人の主人を中心とした心の交流の物語である。一方で、その軸となる部分が、その社会問題の解決策となっていることを、押しつけがましくなく、観客へ伝えているこの作品が素晴らしい。

水の演出に監督のこだわりが

作品の演出として、水や水中のシーンが印象的な場面で使われているが、これは、監督が意図的に描いている。東京国際の際に、演出について質問された際に、チャン・ロンジー監督は「そして、水ということのイメージをここでまず描いています。水に意図されているのは、様々な問題がそこに蔓延しているということ、溢れているということ、そういう意味合いがこの水に込められています。ですので、最初の出だしのところ、そしてまた、ラストのところも、やはり水ということをどういう風にデザインして配置していくかということに気を配っています。」(第27回東京国際映画祭上映時Q&Aより)とコメントしている。

『共犯』ポスター

作品全体として

作品のテーマ、演出、セリフ、どれを取っても切れ味が鋭く、素晴らしい作品。タイトルからファーストカット、ラストまで、シーンにまったくの無駄を感じさせず、各シーンのトーンもすべて意味が持たせてあるのを、あとから気づいて、ゾッとするぐらい精密な作品。初めて観る時には、そんなことは気にせず、衝撃を受けていただき、もう一度観ることになるだろう、2回目の細部まで観ることをお勧めする。

『共犯』公式サイト
http://www.u-picc.com/kyouhan/

『共犯』Partners In Crime(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt3415554/

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