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第13回大阪アジアン映画祭 コンペティション部門
スタッフ staff
監督・脚本:コゴナダ Kogonada撮影:エリシャ・クリスチャン
出演 Cast
ジョン・チョー John Cho:ジン Jinヘイリー・ルー・リチャードソン Haley Lu Richardson:ケイシー Casey
ロリー・カルキン Rory Culkin:ゲイブ Gabriel
パーカー・ポージー Parker Posey:エレノア Eleanor
ミシェル・フォーブス Michelle Forbes:マリア Maria
あらすじ
エーロ・サーリネン、エリエル・サーリネン、IMペイ、リチャード・マイヤー、アレキサンダー・ジラルド…、舞台はモダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバス。建築学者の父が倒れたという報を受け、韓国に移住していた息子のジンはコロンバスを訪れる。父との確執もありこの街に留まることを厭うジンが出会ったのは、夢を諦め母の看病を理由にこの街に留まる図書館員のケイシー。どこまでも対照的な二人の運命が交錯し、建築を巡り、語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出す…。（公式HPより）
モダニズム建築の図鑑のような映画
映像の構図を決める時、どのような意図をもって、決めるのか。この作品は、作品の背景として採用したインディアナ州コロンバスのモダニズム建築をみせたい、という監督の想いが、画面から溢れている。物語の中心は、建築学者の父を持つジンと薬物依存症の母親の世話をするケイシーなのだが、主人公は「建築物」であると言わんばかりに、登場人物ではなく、その向こう側にある建物をどのように美しくみせるか、に心を砕いた構図で撮影されている。建物の全容がみえる形で、敢えて引きの構図で撮影されたり、奥行きのある映像で撮影されたりする。途中で、何を観るために映画館に来たのか、と自問してしまうような、不思議な作品である。物語に登場するモダニズム建築群
アーウィン・ミラー邸（Miller House）エーロ・サーリネン、アレキサンダー・ジラルド
クレオ・ロジャース記念図書館（Cleo Rogers Memorial Library）I.M.ペイ
ジ・イン・アット・アーウィン・ガーデンズ（Inn at Irwin Gardens）
ミル・レース・パーク（Mill Race Park）マイケル・ヴァン・ヴァルケンバーグ
リパブリック新聞社（Republic Newspaper Office ）マイロン・ゴールドスミス
コロンバス・シティ・ホール（Columbus City Hall）Charles Franklin Sparrell
ノース・クリスチャン教会（North Christian Church）エーロ・サーリネン
ファースト・フィナンシャル銀行（First Financial Bank）デボラ・バーク
フレンドシップ・ウェイ（Friendship Way）Cork Marcheschi and William A. Johnson
スチュワート橋（Robert N. Stewart Bridge）
メンタル・ヘルス・センター（Mental Health Center）
サウスサイド・スクール（Southside Elementary School）
アーウィン・カンファレンス・センター（Irwin Conference Center）エーロ・サーリネン
ファースト・クリスチャン教会（First Christian Church）エリエル・サーリネン
窓に映したような対照的な主人公
建築学者の父を持つジンは、父親との確執から、ずっと一緒に暮らしていなかったが、その父親が倒れたことにより、父と近づくことになる。一方で、薬物依存症の母親を持つケイシーは、建築を学ぶ機会を掴んでいるにもかかわらず、母親の元を離れることができずにいる。年齢も離れた二人だが、その境遇は、姿を映す窓の内と外のように対照的で、ゆえに、二人の心が共鳴することになる。作品全体として
美術館や博物館に行くと、作品の展示の邪魔になるような音楽や装飾はされず、静かな空間に身を置くことができることが多いが、この作品は映画でありながら、建築物が展示された空間に来たような気分にさせてくれる不思議な創りになっている。コロンバスに広がるモダニズム建築を配置した箱庭を案内されているような気分になる。そんな作品。おススメ。『コロンバス』公式サイト
https://columbus.net-broadway.com/
『コロンバス』COLUMBUS
https://www.imdb.com/title/tt5990474/
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