『無言の激昂』【感想・レビュー】

2018年3月15日木曜日

外国語映画

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『無言の激昂』暴裂無聲 Wrath of Silence【感想・レビュー】


(C)Bingchi Pictures

スタッフ

監督・脚本:忻鈺坤(シン・ユークン)Yukun Xin
製作:温素純(オン・スーチュン)

キャスト

宋洋(ソン・ヤン)Yang Song:Zhang Baomin
姜武(ジャン・ウー)Wu Jiang:Chang Wannian
袁文康(ユアン・ウェンカン)Wenkang Yuan:XU Wenjie

あらすじ

寒くてどんよりとした中国北方の冬、鉱山労働者である張保民(チャン・バオミン)の息子が行方不明になってしまった。張はある事故により話すことができない。彼はわが子を捜し求めるうちに、この失踪事件が、違法採掘をし続ける鉱山オーナーと深く関わっていることを突き止める。破壊された環境、消えた子供、汚れた心、荒野で声なき怒りが広がっている…(中国映画祭公式HPより)

中国映画祭舞台挨拶から

オープニングに登場したシン監督は、「私たち、若い監督に注目いただき、嬉しい。映画は国境を越え、世界のどこでも心を繋ぐ芸術です。映画を通して、世界で中国の理解が進むことを期待します」と映画製作への想いを語ると、温プロデューサーは、「大阪は2回目。パワーと自由がある街。『無言の激昂』は中国国内では4月4日公開で、大陸よりいち早く上映されます。前作の『心迷宮』とは異なる作品」と大阪上映が実現したことへの感想を語った。
また、撮影時の苦労は?との質問に、シン監督は、「舞台は中国北部で撮影に挑んだが、寒さのリアリティを出すよう役者にも寒さを体感させ、リアリズムを追求した」と話した。さらに、翌日の作品上映時舞台挨拶では、「心迷宮は、かなり複雑な作りの映画だったが、今回は構成の複雑さではなく、深さを探求した。ぜひ、多くの方の感想を聞きたい」と作品への挑戦を語り、観客とのQ&Aへ取り組んだ。

現代の中国を映す

舞台となる採掘場では警察による治安が保たれていない一方で、採掘権を掌握する会社の存在する都市部は、治安が保たれている。そう遠くない距離にありながら、貧富の差が大きく出ている中国の生活が垣間見える。

黒澤明からの影響

やはり日本の映画と問われると「黒澤明」の作品を答えた監督だが、特にその影響は特に作品の小道具や美術など細部に至るまで細かく作り込むことだと語り、作品の端々にそのこだわりがみえる作品となっている。

作品全体として

中国の貧富の差やリアルな庶民の生活を背景にした骨太の作品だが、この作品が上映されるのであれば、日本に伝わる文化への弾圧はさほど感じられず、むしろ、オリジナル脚本のこの作品を製作できる資本が集まるのであれば、より自由であると感じられる作品だ。

『中国映画祭 電影2018』公式サイト
http://www.jpfbj.cn/FilmFestival/denei2018/

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