2018年 おすすめ映画 ランキング

2018年12月31日月曜日

ランキング 外国語映画 日本映画

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2018年Life with movies編集部が独断と偏見で選ぶおススメ映画ランキングです。
※旧作映画は除く。洋画邦画は問いません。対象は、編集部が劇場で鑑賞した225本。

1位 カメラを止めるな!


2018年の映画を語る上では、外せない、映画界の台風の目となったインディペンデント作品。一見、B級の低予算映画で、勢いで作ったのか、と思いきや、細部に設定、画面構成、セリフなど伏線が引かれていて、それをサスペンス作品のように、シリアスに回収するのではなく、そこでも、笑いや驚きをもたらす構成が素晴らしい。6月23日の小規模公開から話題を呼び、全国の劇場へと波のように公開劇場が広がり、年を超えても、まだ上映館が存在する。本当に怪物映画になってしまった。

『カメラを止めるな!』詳細レビュー

2位 ワンダー 君は太陽



多くの海外作品が日本上映されたが、結果的には、この作品のシナリオ・構成、そして、観終わった時の鑑賞後感が最も素晴らしかった。
この物語は、オギーが中心に展開するが、シナリオ・構成の素晴らしいのは、オギーの周りの登場人物に光を当てていること。姉のヴィアやその友人ミランダ、友人のジャックなど、実はそれぞれにも物語があり、葛藤があることを表現している。それは、観客も皆、ヒーローではないが、それぞれの物語があるのだから、そこを共感のきっかけにしている。心に残る作品となった。

『ワンダー 君は太陽』詳細レビュー

3位 search サーチ


新しい映画体験をすることは、難しい。しかし、この作品は、PCの画面上を基本に展開する、まったく新しい映画としての衝撃を与えてくれた。ソーシャルメディアのインターフェースの特性が作品のアクセントとなっていて、まるで、叙述トリックの推理小説を読んでいるような感覚。スクリーンに投影されている、その先、その奥を想像する楽しみを与えてくれた、鑑賞後感が通常の映画作品とは異なる不思議な作品。

4位 ブリムストーン


第73回ヴェネチア国際映画祭』コンペティション部門に選出されたが、その強烈すぎる内容のため、一部では批判を受けた作品。
ガイ・ピアーズの演じる牧師が、己の性癖や誤った確信を信仰にすり替えて押しつけていく様子が、よほどそのへんのホラーより恐ろしく、ダコタ・ファニングの美しさが際立つ。前半は、牧師の狂った様に声をつまらせ、大人になってからは、声を失い、話すことができないヒロインの、声によらない演技が心に残る。
内容・映像表現が強烈すぎて、気持ちを強く持たないと、作品に押しつぶされてしまう。それだけの強さを持つ作品。ヒロインの美しさをもう一度観たいと思うが、牧師の恐ろしさが二の足を踏ませるぐらい強烈で素晴らしい。
もっと評価されて良い作品だと思うが、内容が内容だけに賛否両論が多かったか、評論家も二の足を踏んでしまったか。

『ブリムストーン』詳細レビュー

5位 さよならの朝に約束の花をかざろう


日本公開されたのち、第21回上海国際映画祭において、アニメーション最優秀作品賞(金爵奨)を受賞した。ちなみに、現在、北米を抜いて、中国の興行収入が世界一なので、世界一のマーケットで最高賞を受賞しているということでもある。
アニメ界では他に並ぶものはないぐらい名作を生み出している脚本家:岡田麿里の初監督作品。物語の前半、クセの強い幼いデザインのキャラクターに少し眉をひそめたが、物語が進むにつれて、そのキャラクター性の意味が明らかになるに連れて、その容姿が必然的なものであるとわかり、監督に脱帽する。
どうしても、大手配給会社のついたアニメーションが他の映画祭へ出品されがちであるが、作品としては、2018年公開されたアニメーションとしては、ナンバーワンの出来だと考えている。

『さよならの朝に約束の花をかざろう』詳細レビュー


6位以降のおすすめ作品

6位『恋するシェフの最強レシピ』
7位『The Witch 魔女』
8位『黒い箱のアリス』
9位『テルアビブ・オン・ファイア』
10位『閃光少女』

総評

2018年は、小規模上映から口コミで全国配給や上映館、回数が増加する作品が多く話題となった。日本映画では『カメラを止めるな!』や『カランコエの花』、他にも『四月の永い夢』や『少女邂逅』など。アジア作品では、『恋するシェフの最強レシピ』『The Witch 魔女』『閃光少女』などがアンコール上映や追加上映された。
また、『万引き家族』のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞という日本映画が世界で評価されたことは、素晴らしかったし、その影響もあるのか、キネフィルムズを中心に、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの3大国際映画祭を始め、海外の映画祭で評価が高い作品が多く日本公開され、2017年のカンヌ国際映画祭のコンペティション作品の多くが日本で観ることができたことは、映画ファンにとっては、素晴らしいことだった。
一方、日本の東宝を中心とする大手映画制作会社は、飽きもせず、マンガ原作にしがみついたような作品を創り続け、がっかりする状況は変わらない。また、ディズニー帝国のマーベル買収からの資金にものを言わした配給攻勢のため、作品の質に関わらない形での、いびつな映画上映状況は、面白い映画に巡り合いたい映画ファンにとっては、喜ばしい状況ではなかった。
2019年は『ROMA』でも議論を巻き起こした動画配信サービスから供給される映像作品と「映画」という概念について、動きがありそうであるが、映画ファンとしては、多くの素晴らしい作品を観ることができることを期待しているのみである。

追記
特に書く意味すらない気もしますが、ワースト1位映画は『スマホを落としただけなのに』です。作品が現代を描こうとして、ただ、IT技術は加速度的に進んでいく。そういう社会の流れにアジャストできず、原作が面白いから映画にしちゃった感があり、公開時には陳腐化した内容となってしまった。これは、企画段階のミスかなと感じています。

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