『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』【感想・レビュー】

2018年3月31日土曜日

外国語映画

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『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』【感想・レビュー】

(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

スタッフ

監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本/製作 リズ・ハンナ

キャスト

メリル・ストリープ:キャサリン・グラハム
トム・ハンクス:ベン・ブラッドリー
サラ・ポールソン:トニー・ブラッドリー
ボブ・オデンカーク:ベン・バグディキアン

あらすじ

1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハムと編集主幹ベン・ブラッドリーは、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。しかし、ニクソン大統領があらゆる手段で記事を差し止めようとするのは明らかだった。政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた。(公式HPより)

報道記者を描いた作品

あまりにも有名な事件を元に、スピルバーグ監督がアカデミー賞俳優を配役に据えて撮影した作品なので、おもしろくないはずはないのだが、報道の自由を守る葛藤があまり伝わらない。新聞社の社長と元大統領と親交のあった編集長で、何かを失う恐怖や気概がいまひとつ庶民には伝わらない。報道記者の信念という意味では『クライマーズ・ハイ』の方が、記者の気概を感じるし、多くの命を犠牲にした現場を取材する極限状態を体験した記者の心も描いてる。そういう意味で、本作品は主役の存在が大きい過ぎたのかもしれない。

同時代の緊張感

本作品の上映の前に同時代を描いた『ザ・シークレットマン』が公開されていて、2本続けて観ると、別の角度から同時代の史実を体験できて、楽しめる。緊張感という意味では、FBI内部を描いた『ザ・シークレットマン』の方が、誰が裏切っているのか、真実の情報は何か、ペンタゴンとの駆け引きや送り込まれた上層部との確執など緊張感を生み出すものが多かった。

定番としての楽しみ

日本では理解しづらいが、本作は日本でいう「忠臣蔵」のような、米国では誰でも知っていることを有名人が演じているのを楽しむ、という「定番」の良さみたいなものを狙ったのかもしれない。メリル・ストリープは、さながら大石内蔵助といったところ。

作品全体として

新しい感動はないが、観ていて飽きないお約束映画。メリル・ストリープ、トム・ハンクスの演技は期待どおり、しかし期待以上ではない作品。年末になったら、こたつに入って観たいが、観たあとに『ザ・シークレットマン』を続けて観たい。

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp/

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