『CINEMA FIGHTERS』【感想・レビュー】

2018年2月6日火曜日

日本映画

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『CINEMA FIGHTERS』

(C) 2017 CINEMA FIGHTERS

企画・プロデュース:別所哲也

「パラレルワールド」

スタッフ
監督・脚本:河瀨直美
キャスト
山田孝之、石井杏奈

「キモチラボの解法」

監督・脚本:A.T.
AKIRA、小林喜日、駒井蓮、水崎綾女

「Snowman」

監督・脚本:萩原健太郎
倍賞美津子、鈴木伸之、藤井美菜、村井國夫

「色のない洋服店」

監督・脚本:齋藤俊道
Dream Ami、鹿賀丈史

「終着の場所」

監督・脚本:常盤司郎
町田啓太、玄理、柳英里紗、古舘寛治

「SWAN SONG」

監督・脚本:落合賢
岩田剛典、桜庭ななみ

本作品は、6篇の短編映画で構成されています。

ショートショートフィルムの魅力

本作品の企画・プロデュースを務める別所哲也は、アジア最大級の短編映画祭であり、米国アカデミー賞公認映画祭に認定された「ショートショートフィルムフェスティバル」の実行委員会代表を務める国内のショートショートフィルムの第一人者である。また、本作は、同映画祭の特別プロジェクトとして、企画されている。

ショートショートフィルムの楽しさと難しさ

明確な区分はないが、一般的に短編映画は30分未満で制作された作品である。それ故に、長編映画のような複雑な伏線や人間模様を描くものではなく、短編特有の切れ味や空気感が求められる。これは、短編小説に共通した部分もあり、短編特有の発想や技術が求められるジャンルと言える。日本国内では、あまり商業的な認知が低く、残念。もう少し、映画館で短編映画が上映される機会があるべきであり、会ってほしい。

成功と失敗

本作は6篇の短編作品の集合体であるが、前述の切れ味に似た成功をすべての作品が達成している訳ではない。河瀬監督の『パラレルワールド』はその空気感が監督特有の色を出し、『終着の場所』『SWAN SONG』は、短編で限られたエピソードではあるが、世界観の広がりも表現し、良作に仕上げている。
『終着の場所』の玄理の静かな演技は、派手さがない分、少しずつ変化する主人公の繊細な心の変化が表現されている。柳英里紗との会話シーン。駅で待つシーンなど、短編ならではの引き立つシーンが多い。
『SWAN SONG』は、岩田剛典と桜庭ななみの演技が若さが伸びやかで、また、短編映画らしいネタの切れ味が良い。短編小説と同様に、長編小説のような複雑な謎ではなく、ひとつの謎を描き切る形が見やすい。
他方で、『Snowman』や『色のない洋服店』は切れ味が鈍かったり、テーマの違和感が作品に影を落としてしまっている。『Snowman』は、二人の時間の変化が伝えきれていないし、『色のない洋服店』は、黒=「色のない」というタイトルとの違和感から作品世界へ入れなかった。
このあたりは、監督の得意・不得意やキャリアが出た形かもしれない。

余談であるが

『パラレルワールド』のメイキング風景は、山田孝之主演のモキュメンタリードラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』の第6話、7話に登場するので、併せて観ると別の楽しみが味わえるかも。

『CINEMA FIGHTERS』公式サイト
https://cf-movie.com/

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